福岡広島遠征・広島移動篇(電車グルメ付き) |
ちなみに「ソニック」には昔所属していた大学の鉄道趣味サークルでの旅行の際、朝1番の「ソニック1号」が485系で運転されていた頃に乗ったことがある。その時も小倉で降りて、「富士」のB寝台をヒルネ利用して別府へ行くといういかにもな行動をしようとしたのだが、舞い上がっていたのか「ソニック」の車内で忘れ物をしてしまい、慌てて後続の「ソニック」で大分まで追っかけるハメになった苦い記憶がある。追っかけるのに使った「ソニック」は奇抜な内装で話題となった883系だったのだが、そんな状況で乗ったものだからまるで印象に残っていない。
今回の「ソニック17号」は白い885系。奇抜なデザインで保守的な鉄道ファンからは外見は支持されにくいJR九州の車両だが、この885系に関しては外見も個人的にはすばらしいデザインだと思う。あんまり事前知識もなく車内に入ったのだが、自由席でありながら高級感漂うシックな内装と本革のレザーシートが並ぶ。掛け心地もフカフカである。…これで自由席か?速さはJR西日本の新幹線、安さは高速バスに分があるためJR九州の特急はサービス面で勝負ということになろうか。しかし、これだけのグレードの高さがあれば使わない手はないと思う。折尾で降りるか小倉で降りるか迷ったのだが、隣のおばさんの大荷物に難渋しつつ小倉まで行って下車。
さて、九州の立ち食いそば・うどんには「かしわ肉」の入った「かしわうどん(そば)」がよく売られている。ただの「うどん・そば」を注文してもかしわ肉が入っているところもあるそうだ。そこで、電車の旅でしか食べられない?電車グルメ第1弾はその「かしわうどん」にしよう…と思っていたのだが、小倉にあると聞いたことのあった立ち食いラーメンのスタンドが先に目に飛び込んできて…まあ「かしわうどん」が有名なのは鳥栖だし…と、ラーメンの誘惑に負けて第1弾変更。やっぱりとんこつラーメンなのだが、久留米のあっさりしたのに比べればこちらはまだ普段食べる(要はインスタント系の)とんこつの味がした。
つぎ。これが一番の目当てであったのだが、北部九州ではかしわのフレークとのりとを上に乗せた「かしわめし」という駅弁がポピュラーな存在である。一番有名なのは折尾に本拠のある「東筑軒」が出している「かしわめし」…ゆえに「ソニック」を折尾で降りるという選択肢が捨てきれなかった…だが、小倉でも別の業者が出している「かしわめし」がちゃんと売られており、購入。ただ、ラーメン直後なのですぐ食べることはしなかったが。ちなみに「かしわめし」は中身に反して高額なものの多い駅弁の中で、1000円を越えることはまずない駅弁でもある(購入した北九州駅弁当の「伝承小倉のかしわ飯」はそう小さくもないにもかかわらず680円だった)。
さて、小倉からは下関まで普通列車である。個性的なJR九州化後の車両に比べれば相変わらず地味に生き残る415系に乗車。ほどなくして広い構内を持つ門司に着き、交直切り替え後、関門トンネルへ。まあトンネルなのであまり車窓がどうというのはないが、しばらくして本州に戻り、港町の少し古めかしい街並みを眺めていると程なく下関に着いた。
ここで電車グルメ…といきたいが、ホームは暑くて耐えられなかったので同じものを売っている改札外のクーラーの効いている店に入った(吹きっさらしで大して効いてなかったが)。
さて、下関といえば「ふく」。まともに食えば何千円もするが、下関駅では400円(450円だったかな?)で食べられる。それが「ふく天うどん」である。白身魚の天ぷらにふぐをイメージしたかまぼこが乗っている。かまぼこが「ふく」ではなく、白身魚がちゃんと「ふく」なのだ。たしかにふつうの白身魚よりも味が少し違う…かな?まあ、ふくの味なんて知りませんけど。ふつうにおいしかったのだが、やはり1時間ほど前にラーメンを食べたあとだけにお腹がかなりきつくなってしまった。ま、全部食べたけど。
下関駅は先日駅舎が放火される事件もあったが、駅コンコース内はみたところその傷跡はないように思えた。まあ、外へ出れば駅舎が消えているという現実があるのだが。駅舎の建て替えの話は以前からあったらしく、そのせいか駅構内もなんとなく古めかしい。前日4時起きして撮った字幕の発車案内や、改札のその装置をビデオカメラで映して別のモニターに表示して発車案内をするというけったいな仕組みもまだ続けられていた。発車までまだ20分くらい時間があるが瀬戸内色の糸崎ゆき電車が到着。冷房の効いた車内に逃げ込んで涼みつつ発車を待つ。山陽新幹線に乗り換えるが、新下関でも厚狭でも連絡はおなじ「こだま」。特急料金は同じなので新下関から乗ることに。電車は出発すると海沿いの下関からどんどん遠く離れていく。かつては「長門一ノ宮」という駅名だったようにだいぶ違うところに新下関駅はあった。ただ、ここ自体はしっかりした街並みではある。
「こだま」の到着までまだ30分ほどあるので新下関駅構内をぶらつく。在来線と新幹線の駅はだいぶ離れており、動く歩道まであった。在来線の改札は殺風景でこじんまり。一方新幹線側は広々としているのだがかなりスペースを持て余している。待合コーナーにはドーンと、
こんなのがあってもまだ全然広々であった。
新幹線ホームに上がるとホームの外の線路に0系がいる。新下関新幹線乗務員訓練センターという訓練施設が駅に併設されており、0系4両編成が停車していた。訓練車という事で外装はかなり剥げ落ちて往年の輝きはないが、この編成は残存する0系で唯一国鉄時代からの塗装が残っている貴重な編成でもある。車両は起動しており赤いテールランプも点いている。なんか訓練でもしてるのかな…と思っていたら
さて、新下関から乗るのは13時56分発の「こだま722号」広島ゆきである。新幹線最短の4両編成で車両は100系。2階建てグリーン車をつないで16両で東京~博多を走っていたのも昔話になってしまい、今では短編成化され塗色も新塗色になりローカル輸送に徹している。車内は2列シートになりグレードは上がったが。4両ではあるが車内は利用客がまばらに乗っているような状態。4両化されるのもうなずけるが、乗るほうにとっては快適である。さっそく「かしわめし」を広げる。実は旅行に入ってからここまでまともにご飯物を食べていなかったのでご飯が余計においしく感じた。かしわのフレークは甘辛い味がしみ、刻み海苔もいい風味が広がる。さすが定番駅弁だけはある。これはウマい。小倉で買ってここまで持ってきたかいがあった。
「こだま722号」は新岩国に到着。ここで通過追い越しのためしばらく停まるという。ホームの様子を眺めていると…
ぱ、パタパタ!!!速攻下車。てっきり山陽新幹線では絶滅したと思っていたパタパタの発車案内がまだ生き残っていた。利用客数ランキングワーストの常連で、新幹線駅とは思えない田舎の風景が広がっており、まあ残っているとすればここかなという気もしないではないが(笑)、数年前から反転式がどんどんLEDに置き換えられていたためさすがに残ってないだろうと思っていたら…。完全にノーマーク。山陽新幹線でおそらくここしか残っていないんではないだろうか。貴重品を見ることができた。末永い活躍を祈る。「山陽新幹線はトンネルだらけ」とよく言われるが、新下関~広島間では案外そういう気はしなかった。天気もよく緑あふれる風景を見、うまいものを食べ、意外な発見をしと、新幹線であっても旅はいいものである。15時14分、広島に到着した。
あんまりのんびりはしてられず、南口から出て広島電鉄ののりばへ向かう。わりとこぎれいな作りで多くの人が電車を待っている。広電は「1日乗車券」を出しているが、今日はあまり使わないので買うだけ買って明日の分にしておいた。電車だけなら600円、市内線に4回乗れば元が取れる(ほかにも宮島観光向けのものもある)。そして、今日使うのはプリペイドカードの「パセオカード」。西鉄ではソフトバンクの選手カードを出していたが、広電も広島東洋カープの選手カードを月ごとに出しており、この月はショーン・ダグラス投手の図柄。事前に情報は掴んでおり、外国人選手の柄はなかなか貴重ではないか?と購入を即決していた。広島の選手カードは人気で売り切れもあるという話もあったが、さすがに発売直後だったため余裕でゲット。問題はこの手の地元で使えないカードはパスケースの肥やしと化す事である。ちなみに今のところ「SFパノラマカード」やら「SFとーぶカード」がそんな状態なのだが…。
きょうのお宿はオリックス系のビジネスホテル、「ブルーウェーブイン広島第2」。…ブルーウェーブがバファローズになってもブルーウェーブのままである(ロゴはプロ野球のBlueWaveロゴそのまま)。ここは銀山町(かねやまちょう)電停すぐである。あとで行く広島市民球場も原爆ドーム前電停すぐなので広電がフル活用できる。さあ、疲れてるし電車に乗ろうか…と思っていたら